うつ病物語 その61「うつ病と人事調査票」

うつ病物語

年に一度の人事調査票

メンタルの調子が低下しているところに、年に一度の人事調査票の提出指示が舞い込んできた。これは、今年度の業務目標に対する達成度合いと次年度の業務目標を記入して所属長に提出するもので、所属部長評価、担当役員評価、最後は社長評価を経て総合的な評価が決定され、給与や賞与、昇給昇格、そして人事異動に反映されるシステムとなっている。

目標はどうしても高めに設定することになるため、結果が伴っていることはそうそうなく、人事調査票の作成は普通の状態でもやっかいな代物なのだが、今のように、うつ症状が出ている者にとっては、より一段と辛い作業であった。提出用紙を目の前に置いて頭を振り絞るものの、一向に頭は回転せず、現実逃避感が増すばかりであった。

もうひとつの重要項目

この人事調査票には、もう一点、重要な項目があった。それは、次年度の配属部署についての確認で、「現在のままでよい」「異動してもよい」「異動したい」の中から自分の意思を選択した上で、「異動してもよい」「移動したい」を選んだ場合には、希望する部署やその理由を記さねばならなかった。

現状に対して閉塞感しかなく、将来展望を描けない状態であった私にとって、新天地へ、という選択肢は魅力的に映った。さすがに、「退職して転職する」は年齢その他色々な面からリスキーであり、余程のところまで追い詰められないと選べないが、「異動する」というのは、現実的にアリだとの考えがちらついていた。

そうは言っても、30歳代までならともかく、この中小企業の中で、経理やシステム中心に管理部門を25年もやってきた者が、ポンと別部署に移るというのは会社として想定外であり、私の後釜の問題も含め、かなり難しいものがあった。

なんと書いて提出するべきか…

人事調査票の作成は、例年にも増して難航した。提出期限の前日になって、何とか今年度のトレースは出来たのだが、どうしても「次年度の業務目標」と「異動の意思確認」に手が付けられない。

集中力や仕事への意欲に著しく欠けた状態で、次年度の業務目標なんて思い浮かぶはずもなく、異動希望については、正直に書けば社内的に物議を醸しだすことが予想された。

悩みに悩みまくったが、思い切った私は、業務目標には軽めのことを書きつつ、病状による不安感が大きいことを記し、異動希望に〇印をつけて異動先は生産部門とした。クレームがつくことは承知の上で、自分の意思表示をする機会だと割り切ることにしたのだった。

 

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