うつ病物語 その156「医者が言うほど”うつ病の薬”って効く?」

ひとつのエピソード

ちょっとスイッチが入った感のある医師は、私のカルテと思われるものをPC画面に出して、何かを確認しているようだった。こちらからは、何が表示されているのかは見えないので分からなかったが、医師はこう言った。

医師「う~ん、〇〇さんは、平成28年が初回の発症で、そして休職していましたね…、で、その後、再び休職されていますが、これはひとつのエピソードではないかと、以前の診察時に説明されていますね。」

私「はい、1回目の休職は5週間で、その時は会社からの強い促しがあって復職しましたが、今思えば全然良くなっていないのに復帰してしまい、半年後の2回目の休職に繋がったと思っています。」

医師は黙って聞いている。この説明はもう何度かしたので新鮮味は無いはずだが、「あ~ハイハイ、それはもう聞いたよ。」というような雰囲気は全く無しで耳を立てている。流石は精神科の医師だなと思った。

それと、医師の言う「ひとつのエピソード」という表現だが、これはうつ病特有の表現で、専門用語というか業界用語だ。うつ病では、具体的な抑うつ症状が出ていることを「抑うつエピソード」と表現するが、そこからきているのだと思う。

薬を巡っての見解の違い

医師「う~ん、でもまあ、薬に関しては飲んだ方がいいと思いますよ。これで病気(再発)を防げるのなら、こんなに楽なものは無いと思うんですよね。」

私「まあ、もしそうなら、そう思いますが…。今現在も、飲んだり飲まなかったりの状態なので…。」

実際には、全く飲まなくなって3ヶ月が経過していたし、うつ病の薬って、そんなにバシッとした効果を発揮するものなの?と思った私を見透かしたのか、医師はこう続ける。

医師「勿論、薬を飲んでいるからと言って、絶対に再発しない訳ではありませんが、飲み続けている方がいいことは確かですよ。」

私「う~ん…。」

それは分かるが、医師の言うことは少し矛盾している。だから、自身の体調を見極めながら、どの程度なのか不明だが再発率低下を期待できる効果と、薬を飲み続けることによる年間10万円以上の経済的負担を、どう天秤にかけてリスクをどう取るかなのだ。

医師「…では、減らしていく考え方で、今、〇〇さんはイフェクサーの75㎎2つと37.5㎎1つを飲んでいますから、今回、37.5㎎を無くして様子を見ましょう。」

私「ああ、はい、分かりました。」

医師「その後、また更に半分に…、というのは、その時の状態を見て考えましょうか。…こういった薬は、飲まなくなってしばらく経たないと変化が分かりませんから、そこは慎重に。」

精神科医の医師と付き合うようになって3年以上経つが、他の医師に比べて、アドバイザーの側面が強いように私は思う。この医師のように、患者側が臆さずに何でも話せるスタンスで居てくれるのは、とても楽だし頼りになる。結果的に、全快への道が近付くと思った。

 

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