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スーパーハード・ヘヴィメタ・パンクバンド「GUSTUNK」

「MOTHER」はアルバムのタイトルであり、実は曲のことは殆ど覚えていない。ただ、その存在とズシンとくるバンド名だけが、私の中にずっと引っかかっている「GUSTUNK」。

このバンドは1983年から1988年までの5年間の活動で解散したが、その後、X-JAPANのHIDEを追悼するため等で数回再結成され、現在も活動を継続している。

アルバムジャケからのイメージ通り、ガッツリ歪みが効いたギターとシャウトが炸裂する楽曲は、「X JAPAN」「L'Arc〜en〜Ciel」「黒夢」などの1990年代以降に活躍するハード系後輩バンドが、GUSTUNKの影響を受けたと公言するもので、日本のハードロック・パンクロック・ヘヴィメタル系の源流のひとつなのは間違いない。

学生カーストと80年代のツッパリ層

現代では「学生カースト」をいう言葉がある。

アラフィフになった今となっては、学生時代の一時だけのつまらないものだと振り返ることが出来るが、当時は面倒なヒエラルキーであり、一軍とか二軍と称される学生カーストの物差しでは、私は二軍から三軍を行ったり来たりするような存在だった。

1980年代には、まだツッパリ層(ヤンキー系)というものが明確にあったが、1970年代までのガチで危険な集団とはちょっと違い、もちろん学校によって大きく異なるが、授業中にタバコを吸ったり(陰では吸う)、先生の車をバットで破壊したりとかまではしない。

カツアゲ的なものとか万引きとか、学校をサボったりとか、スプレー缶でイタズラしたりとか、まあ悪いちゃ悪い集団だが、凶悪度とか危険度は低く、一般層にはあまり迷惑を掛けず集団生活の最低限のルールは守る。

勿論、本職予備軍みたいな危険人物もたまにいるが、80年代の多くのツッパリ層はこんな感じだった。

高校時代のギター師匠とその周辺達

で、そんな彼らが好んで聴くのが「GUSTUNK」のようなハードでヘヴィなパンク音楽だった。

高校生の頃、ヤンチャ系グループに属していた同級生のK君と席が近かった私は、彼らの会話を耳にすることが自然と多かったが、その会話の中に「GUSTUNK」というワードが頻繁に出てくる時があった。

ガスタンク?…どうやらハード系ロックバンドの名前か?あの人らが推すバンドなんだから、きっと、スゲエバンドに違いない‥。

そう考えた私は、何の音楽的確証も無いままに「MOTHER」というアルバムを借りて、興奮する気持ちを抑えながら聴いてみた。

…しかし、当時の私には、悔しいが私のようなハードロック・ヘヴィメタ素人には、GUNTUNKの音楽を消化することが出来なかった。はっきりと、悔しい気持ちを感じたことを記憶している。

なんとかGUSTUNKのロック魂というか、濃厚な感じは受け取ったのだが、「う…きっと本物だ」と思うのが精一杯。「おお!GUSTUNKいいな!」という風にはどうしてもなれなかった。

この「なれなかった」というのは、十代の時には思いのほか凹む出来事だ。

当時の私は、安全地帯というメロディアスなバンドを中心としつつも、他のロック系も幅広く聴いてきたつもりだったが、基本ポップス中心であったせいか、バリバリのハードロック・ヘヴィメタ・パンクであるGUSTUNKを「いいな!」と感じる土壌が備わっていなかったのだ。

結構凹んだ私だったが、でも、私は、同世代でGUNTUNKを聴いて知っている人が少ないことも分かっていた。音楽性を心底理解できなくても、メジャーではないGUSTUNKを聴いて知っているというだけでも、僅かながらの優越感があったのだ。

私は学校の机の中に、割と見えやすいようにGUSTUNKをダビングしたカセットテープを忍ばせて、数日を過ごした。

すると案の定、ある日、同級生のK君が「〇〇もGUSTUNK聴くんだ?いいでしょGUSTUNK」と声を掛けてくれた。私は「あ、うん」とだけ答えたが、実は嬉しかった。

私のギター師匠は同じクラスだったが、そのグループとガッツリ仲が良い感じとはちょっと違うように当時の私には映っていた。彼は当時から何か透き通った孤高の雰囲気が漂っていたのだ(別にK君が濁っているという訳ではナイ)。

ギター師匠は、学校祭ではやけに目立つ、異常に上手いベーシストとして登場。K君を含めたバンドで学校中の話題を集めていた。

もし私が、十代の頃にギターにハマり、仮に彼らと共有する濃密な時間を過ごしたとしたら、きっとその後の人生は大きく変っていただろう。

GUSTUNKというバンドは、ワタシにそんな妄想を思い起こさせるワードだ。バンドとして聴きこんだとか、そういうことは残念ながら無いが、私は「GUSTUNK」というバンド名を一生忘れることはないだろう。

 


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