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正式名称は「THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL」
1981年リリース、横浜銀蝿の2枚目のシングル。
この曲が流行った頃は小学生だったのでリアルタイム世代とは言えないが、歌謡曲(という表現が相応しいかどうかは別として)に親しんだ入り口として、とても印象に残っている曲。
まず「横浜銀蝿」というバンド名がイメージも語感も上手すぎて最高だが、正式には「THE CRAZY RIDER 横浜銀蝿 ROLLING SPECIAL」というらしく、色々な意味で気持ちよく突っ切っていた。
完全なツッパリファッションで、当時でいうところの「不良」の集団みたいに見えるが、ガラは悪くとも一般人とはちゃんと線を引き、義理人情に厚く筋道はきちんと通す「族(ゾク)」であり、漫画「湘南爆走族」のイメージに近い。
ウォークマンと 横浜銀蝿の初体験
私の場合、この曲は年上の従兄弟の記憶とセットになっている。
この従兄弟は見るからにトッポイ雰囲気の兄ちゃんだったが、情に厚く、私のような普通の少年のことは可愛がってくれるタイプで、家にちょくちょく遊びに来ていた。
その従兄弟が泊りに来た時に持参してきたのが、当時爆発的に売れていた「ウォークマン」と、この横浜銀蝿のテープであった。
今の若者には笑われてしまうが、当時の音楽は46分とか60分のカセットテープの両面(A面とB面がある)に5~6曲ずつ録音されているものだった。
この「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」は、最初聴いた時はいかにもこの従兄弟が好きそうな曲だなあと思っただけだったが、その軽快なリズムと歌詞の面白さ、また底抜けの明るさにハマってしまった。
イヤホンでステレオ音源を聴くことが初めての経験だった私は、その没頭感に衝撃を受けた。こんな隔絶された自分だけの世界の中で聴こえるのなら、どんな曲でさえも好きになってしまうのではないかとさえ思った。
しかも横浜銀蝿のサウンドは軽妙な「ロックンロール」で気分をウキウキさせた。私は従兄弟が残りの電池(当時のウォークマンは単三電池で数時間しか持たない)を気にするくらい、夢中でリピートして聴いてしまった。
今でも単三電池を見ると、時々この時のことを思い出してしまう。どうしてこういう幼かったころのつまらない記憶というのは鮮明なんだろう。
3バージョンある「ツッパリHigh School Rock'n Roll」
横浜銀蝿の代表曲「ツッパリHigh School Rock'n Roll」には、「登校編」の他に「試験編」「女子高編」と、全部で3バージョンある。
どれもコミカルでギャグ展開を楽しむ詩だが、悪ふざけや下品な感じは全くなく、ポンポンポンポンと軽いリズムで乗せられ流されて、あれ?もう終わり?と物足りない感じを受ける名曲揃い。
この記事を書くにあたり、横浜銀蝿のベストアルバムで他の曲達も色々聴いてみたら、思い出とはまた違った印象だった。
横浜銀蝿の曲達は記憶以上に軽快で、爆音を響かせる夜の暴走族的な雰囲気はあまりなく、むしろカラッとした夏空の下を窓全開にして走っているような爽快な曲ばかりだった。