田原俊彦の最高傑作!

1988年リリース、田原俊彦32枚目のシングル。

フジの月9ドラマ「教師びんびん物語」の主題歌で、その軽快な曲調がドラマのノリと相乗効果を発揮して大ヒット。その人気に陰りが見えていた田原俊彦が第一線に返り咲くようなセールスを見せた。

事実、この曲のヒットで田原俊彦は、その年の紅白歌合戦に2年ぶりの復帰出場が決まっていたが、前年に落選したこともあってか出場を辞退、以降、田原俊彦の紅白出場はなく、現在に至る。

今聴くと、当時の時代感をよく表しているというか、随分と能天気でイケイケな曲である。まあ、80年代といえばバブルの真っ最中であり、やれ少子高齢化だの、コーポレートガバナンスがどうのといった面倒な話はなく、今では御法度のパワハラやセクハラも必要悪として横行していた時代である。

名曲には違いないが…

さて、この曲、80年代後期を代表する名歌謡曲には違いないが、一回でおなか一杯になる曲でもある。サビが少し長いというのもあるが、軽快過ぎるというか、軽いだけで単調なのかもしれない。

私は当時、高校生であったが、例によっての麻雀BGMにこの曲が随分と起用され、実は苦しんでいた。ドラマも流行っていたので仕方ないのだが、この「抱きしめてTONIGHT」は、このコーナーで紹介した他の麻雀BGM「雷電」「元気なブロークンハート」等に比べ、非常に飽きやすい。

一口目は甘くて美味しいのだが、どうにも後味がくどくなってくるのである。同じような曲として、他には、例えばチャゲ&飛鳥の「モーニング・ムーン」とかはどうだろうか。私はこの曲も、最初は「名曲だ!」と思ったが、どうにも耐久性がない。言い換えれば、瞬間的に勝負するタイプの曲であり、短距離ランナーなのかもしれない。

もうひとつある。「抱きしめてTONIGHT」の場合は、あまりにもドラマとリンクし過ぎて、曲としてのアイデンティティに欠ける。幸か不幸か、タイアップしたドラマが大ヒットしてしまったせいか、メロディと詩で紡ぎだす世界観が、ドラマそのものになってしまい、曲単体としての力がスポイルされてしまっている。これでは、ドラマ終了とともに、あっという間に陳腐化してしまう。

う~ん、ここまで書いてきたことは、今まで意識してきたことは無かったが、当時を思い出しながら書いているうちに色んな感情が湧いてきて、知らないうちに文句になってしまった。

…おかしいなあ。「抱きしめてTONIGHT」、田原俊彦のダンスもやるなあと思ったし、好きな曲に間違いはないのだけれど。

 

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