BUCK-TICKを確立した名曲「悪の華」
1990年リリース、BUCK-TICK3枚目のシングル。
鮮烈なビジュアルと、独特のポップス感をフューチャーしたビートロックは、当時「バクチク現象」というキャッチコピーで振舞われ、若者ならファンではなくても何となく知っている、そんな存在であった。
一般的に知られているのはこの「悪の華」で、まさに一人勝ち、というか、他の曲の知名度は著しく低い。
誤解の無いよう念のため触れるが、BUCK-TICKは一発屋ではなく、80年代後期から現在まで一度のメンバーチェンジや活動停止を行うことなく、第一線で活躍している物凄いロックバンドだ。 ※2024年に櫻井敦司氏が亡くなったため、過去形になってしまいます…。
BUCK-TICKはメジャーデビュー直後にギターの今井寿がLSD所持で逮捕され、せっかく知名度が上昇してきたところで不祥事を起こしてしまったが、活動再開直後のシングル「悪の華」でオリコン1位を奪取、翌週発売されたアルバムも1位となり、バンドの人気がピークに達した瞬間となった。
これがもしアイドルだったら、違法薬物所持のイメージダウンは甚だしく、こうはならなかったと思うが、ロックバンドの中でもダーク寄りだったBUCK-TICKは不祥事すらも知名度に変えてしまったのかもしれない。
唯一無二なBUCK-TICKサウンド
で、有名なシングルが「悪の華」しかない話に戻るが、BUCK-TICKは、その後もコンスタントにシングルを出し続けているものの、「悪の華」以降は、それまでの歌謡ロック調な聴きやすさは薄くなり、よりニッチな曲調になっていく。
そのため、一般人に知れ渡る分かりやすいヒット曲が生まれることはなく、売れ線のメジャーシーンからは一歩引いた位置に落ち着いていく。
しかしそれはバンドパワーが低下したということではなく、BUCK-TICKの音はデジタルを吸収して深化し、よりコアで純度の高いサウンドに変質していった。
元々が歌謡曲好きな私は少しBUCK-TICKから離れたが、後に彼らの音がロックバンドが放つ音像として唯一無二なものであることに気付き再燃。50歳を過ぎた今でも定期的に聴いて楽しませてもらっている。
【歌謡ロック調】オススメ!「HURRY UP MODE」
作詞は櫻井敦司であることが多いが、私は詩というよりボーカルの声質がすごく好き。
櫻井敦司は、技術的に上手いボーカルというタイプとは少し違う気がするが、声の出し方(特に高音)に独特の味があり、私の場合は曲を度外視に、彼の声を聴いているだけで満足してしまう。
バンドサウンドは遍歴とともに輪郭がハッキリした音、よりクリアで空間を意識させる音像になりヘッドホン推奨。聴き応えが増し増しになっていくが、ボーカル自体は初期の頃から既に完成されていて、後期の作品と比べても違和感みたいなものはない。
ただ流石にメジャーデビューしたアルバム「HURRY UP MODE」は、彼のまだ若く少し危い歌声をもとに、ポップス感の強い曲が多数収録。
歌謡ロック調なので軽く見られがちだが、後に間違いなくブレイクするだろうと思わされる若きBUCK-TICKを堪能することが出来る。
お勧め!