バンドブーム創成期から現在まで活躍
1990年リリース、BUCK-TICK3枚目のシングル。
鮮烈なビジュアルと、独特のポップス感をフューチャーしたビートロックは、当時「バクチク現象」というキャッチコピーで振舞われ、ファンではなくても誰もが何となく知っている、そんな存在であった。
一般的に知られているのは、今回紹介する「悪の華」で、まさに一人勝ち、というか、他の曲の知名度は著しく低い。誤解の無いように言って置くが、BUCK-TICKは全然一発屋ではなく、80年代後期から現在まで、一度のメンバーチェンジや活動停止を行うことなく、第一線で活躍している物凄いバンドである。
BUCK-TICKはメジャーデビュー直後に、メンバーの今井寿がLSD所持で逮捕され、せっかく知名度が上昇してきたところで不祥事が起きたが、活動再開後一発目のシングルがこの「悪の華」で、なんとオリコン1位を奪取、翌週発売されたアルバムも1位となり、バンドの人気がピークに達した瞬間となった。
これがもしアイドルだったら、麻薬なんてものはイメージダウンも甚だしく、こうはならなかったと思うが、ロックバンドの中でもかなりダークよりだったBUCK-TICKとしては、不祥事さえも売りに変えてしまったようだ。
インディーズ時代からデビュー直後は好みの曲が多数
で、有名なシングルが「悪の華」しかない話に戻るが、BUCK-TICKは、その後もコンスタントにシングルを出し続けているものの、「悪の華」以降は、それまでの歌謡ロック調というかポップス感は鳴りを潜め、非常に濃い、一見さんお断りな曲ばかりになっていくのである。
これでは、一般人を巻き込んだヒット曲にはなろうはずもなく、メジャーシーンからは一歩引いた位置に落ち着いていく。まあ、BUCK-TICKの場合は、そのキャラクター性や音楽性から言っても無理もない話である。
ボーカルの櫻井敦司は、歌が上手いタイプとは少し違うが、声の出し方(特に高音)に独特の味があり、私などは曲を度外視に、彼の声を聴いているだけで結構満足してしまう。特に、メジャーデビューしたアルバムである「HURRY UP MODE」には、ポップスロックが多数収録されており、彼のまだ若く少し危い歌声とともに、これは後にブレイクするだろうと思わされるBUCK-TICKを堪能することが出来る。お勧めである。