【諸悪の根源】世の中には「うつ病」と「偽うつ病」がある
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世の中には「うつ病」の偽物がはびこっている!

「うつ病」が、なぜ職場や親しい人に言いにくいのか?は、このブログで色々書きましたが、その理由は2つだと思います。ひとつは、うつ病は本人の気の持ちようからきており、「気の持ち方は自分の意思でコントロール出来ると思われている」こと、そして、もうひとつは、「世の中にはうつ病の偽物が溢れている」ことです。

後者に挙げた「うつ病の偽物」が巷ではびこっている現実は、本当にうつ病になった私達にとってはたまったものではありませんが、「ニセうつ病」とは、一体どういうものなのでしょうか?

うつ病には証拠がない現実と、自分のメンタルは自分次第‥‥という世間の常識

ニセうつ病のことを考えるには、先ずはここを整理する必要があります。

うつ病には、そもそも誰もが一発で納得する一目瞭然な証拠がありません。いやいや、医師の診断書があるでしょう?と、思うかもしれませんが、医師の診断書の根拠となるのは、本人や家族による訴えによるものです。残念ながら現在の医学では、うつ病を数値化したり画像にすることが出来ません。

他の病気のように、専門家である医師が診断して診断書を発行することには違いありませんが、「〇〇検査の結果、××という基準を超えた結果が出ました。」とか「ここに〇〇が写っているでしょう、これが原因です。」とか、「この〇〇が××と接触しているので、△△なのです。」といった、誰もが納得せざるを得ない物理的事象が何一つ無いのです。

そのせいで、もっと症状が激しい他の精神疾患ならいざ知らず、ただ落ち込んで元気が無いだけのように見える「うつ病」に関しては、残念ながら精神科医の診断書は大した威力を発揮しません。→うつ病関連 その10「うつ病の診断書のもらい方を解説!不安を感じる必要はない!」へ

 

「うつ病?そもそもお前は何事も真面目に考え過ぎなんだよ。」とか「…う~ん、気晴らしを意識的にやってみたらどう?元気になるんじゃないかい?」とか「そういう時は誰にでもあるよ、ま、深刻に考えるな。」といった、いわば「落ち込んでいるのは貴方自身の精神が弱かったり、コントロールが悪いせいだ。」という考え方が世間の主流で、精神科医の言うことなど誰も信用していないのです。

特に、「根性」や「気力」で乗り越える、というものを長年に渡って叩きこまれてきた50歳代以上の世代は、過酷で厳しくはあっても「頑張れば必ず報われる」という世の中を生きてきており、何もかもが多様化して複雑になる一方の現代で「うつ病」に罹患してしまう社会人のリアルを想像出来ず、本当の意味で共感できる人は極少数です。

大半の人達はうつ病を「弱々しい者がなる病気」として捉え、無意識に卑下しています。…というか、私もそれに近い認識でした。

…自分のメンタルなんて、そりゃ色んな理由で浮き沈みはあるだろうが、最後は自分で何とかするもんでしょ?

しかし、そういう前提が長い時間をかけて崩壊してしまうのが”うつ病”なのです。

本物の「うつ病」とは?

前項で記した世間の常識は、世代特有の人生観や思い込みによる誤解なので、うつ病の罹患者からすると、共感してもらえないという辛く苦しい部分ではあっても、相手に悪意がないことは分かっているので、失望したり呆れたりはしても、腹は立ちません。

しかし世の中には、うつ病が明確に測定できる病気ではないために、本当はただの一時的な気分の落ち込みなのに「うつ病」だと思い込んでしまう人がいたり、「うつ病」のことを、医師の診断書さえ貰えば堂々と病人だと宣告できる便利なものだとして悪用する者が一定数居るのです。

これは私自身の経験からですが、いくら辛い目にあって酷い落ち込みがあっても、10日~2週間で落ち込んだ気分が軽減されて上向きになっている場合や、朝よりも夕方に疲れを感じる場合、仕事の能力、特に思考力や判断力そのものは低下していない場合は、うつ病ではないと判断していいと思います(※うつ病の一歩手前である可能性は有り)。→うつ病関連 その2「3分で分かる!うつ病診断」へ

逆に、本当にうつ病を患っている場合は、その反対の現象が出ているハズです。一日の中で朝が一番疲れを感じている場合、出来るはずの慣れた仕事に倍以上の時間が掛かる場合、ルーティン以外の業務を遅々として進められない場合、集中力や思考力が著しくダウンしている場合…は、うつ病である可能性が濃厚です。

仮性うつ病と、仮病うつ病

そして、本当のうつ病ではない”うつ病”は2種類あります。ただの一時的な抑うつ状態をうつ病だとした「仮性」の場合と、医師に対してうつ症状を誇張して訴えたり嘘をついたりして、いわゆる「仮病」を狙った悪意のある場合の2つです。

うつ病を偽装する「仮病」の方は、客観的証拠が出ないことをいいことに、医師への話し方ひとつで「病人」の称号がもらえると悪用する不届き者のことで、その道のプロである医師が大抵は見破っているものと考えられ、流石に数は多くないと思います。

本当に問題なのは、うつ病ではないのに、自分はうつ病だと本気で思って病院に駆け込んだり、上司や周囲に訴える「仮性うつ病」の人達です。

うつ病予備軍である可能性も多々あるので一概には言えませんが、うつ病は、直ぐになってしまうものでも直ぐに治るものでもないというのが私の実感です。ある突発的な出来事ひとつが原因だったり、2~3ヶ月程度の短い期間、苦しい思いをしたという理由でうつ病になるケースは案外と少なく、もっと長期に渡って苦しい状況下にあった者が罹患するケースが多いのではないでしょうか。

それなのに短絡的な判断で、自分がこんなに落ち込んでいるのは病気(うつ病)に違いない、と思い込み、病院に駆け込み、医師に目一杯訴えて「うつ病の診断書」をもらい、会社に休職を申請…。

こうした、ただの一時的な抑うつ状態を病気にした「仮性うつ病」と、医師に嘘をついてでっち上げた「仮病うつ病」。この二つの存在が、脳疾患である「うつ病」の本当の姿を歪めているのです。

仮病より「仮性うつ病」の方が深刻な悲劇

仮病の人は、仕事をしたくないだけの人なので問題外ですが、本当のうつ病でも、仮性うつ病でも、いざ、休職に入って仕事を全くしない日々に馴染んでくると、一ヶ月を過ぎた頃から変化が現われ、本物でも仮性でもお構いなしに、どんどん現役感や責任感が減退していきます。→「うつ病を治すには休職を!過ごし方とその変化について」へ

本当のうつ病の場合は、ただひたすら心身を休めることが最大の治療なので、こういう変化は喜ぶべきことなのですが、マズイのは仮性うつ病の方です。休職までする必要など無かった人が、結果的にどんどん病人へ近づくことになり、逆に職場復帰への敷居はどんどん上がります。

仮性うつ病だった人が、限りなく本物のうつ病になってしまうと言っていいでしょう。そして、こういう展開を経た人は、忍耐力や客観的視点に欠け、自分の落ち度や欠点はさて置きで、何事も被害者感覚で入ってしまうタイプ、社会人や大人として幼い印象を与える人が多いのです。

「本物」「仮病」「仮性」と3種類が入り混じる「うつ病」

このように、世間では「うつ病」という病を、「本物」「仮病」「仮性」の3種類をごちゃ混ぜにして扱っているのです。正しく捉えているのは、医師と患者側だけ…。これは、他の病気ではあり得ない事象だと思います。

一刻も早く、うつ病を数値や映像で判定できるようになり、これまでの誤解や偏見が払拭されることを願っています。

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