1989年リリース、COMPLEXの1枚目のアルバム、「COMPLEX」の6曲目。

シンガーソングライターの吉川晃司と、BOOWY解散後のギタリスト布袋寅泰が電撃的に組んだ奇跡のようなユニットがCOMPLEXである。当時、このニュースには本当に驚かされた。吉川晃司は、既にアイドルから脱却しつつあったとはいえ、当時はまだまだデビュー時のアイドルイメージを引きずった状態であり、それが、あの「BOOWY」の布袋寅泰と?嘘だろ?と皆で盛り上がったものである。

当人たちは、既に互いのアルバム制作でサポートし合う関係であり友人関係にあったが、2人で酒を飲んでいて「一緒にやろうか!」というノリになり結成。吉川側はどうしてもこびり付くアイドル臭払拭のため、布袋側はソロアルバムに対するBOOWYファンの布袋の歌への否定的な声とギタリストとしてのステップアップという、互いの利害もマッチしたことから事務所も積極的にバックアップし、トントン拍子に話が進んでいったようだ。

で、この「IMAGINE HEROES」だが、イントロからノリノリのアッパーソングで、吉川の歌唱は独特の癖も程よく炸裂、布袋のギターも様々なエフェクトを駆使、キャッチ―かつ攻撃的なサウンドがリスナーをグッと引き込んで離さない。私にとって、かなり大好きな1曲である。

というか、このアルバム「COMPLEX」自体が、主に作曲を担当した布袋の類まれなセンスを存分に感じさせる名曲揃いで、1曲目から全くダレることなく12曲目まで一気に聴かせる超絶アルバムなのである。今回は悩んで迷って「IMAGINE HEROES」を取り上げたものの、やっぱり「PRETTY DOLL」にしようかなとか、いや、ちょっとマニアックに「そんな君はほしくない」か、とか、未だにスッキリしない。

今聴いても、音としては全く古びていないどころか、むしろ新しいくらいで、特にデジタルロックギターサウンドが好きな若い方に、力強くお勧めしたい。ちなみに、「1990」という2枚目のアルバム(というかラストアルバム)もあるが、一定のクオリティは当然保っているものの、1作目に比べると大きくパワーダウンしており、とても同じ2人とは思えない仕上がりになっている。

…さて、最初に、「COMPLEX結成は奇跡」、という表現を使ったが、事実、強烈な個性を持つ2人は音楽的には相容れず、2年と持たずに活動停止(事実上の解散)となってしまう。デビューアルバムは出色の出来だったにも関わらず、2枚目の残念な仕上がりはこういうことだったのかと納得はしたが、そんな1ファンの嘆きが届くはずもなく、吉川晃司と布袋寅泰は、それぞれソロアーティストとして歩んでいく。

その後、COMPLEXは東日本大震災のチャリティーライブとして、吉川から再結成を呼び掛け、布袋がそれに応える形で2日間限りの復活を遂げる。このライブは、COMPLEX活動停止から20年が経過しているというのに、6億円以上の収益を挙げて、全額が寄付されたとのことである。

解散後の2人が、その後も音楽シーンを牽引した稀有なアーティストだったということもあるが、こうしたパワーというものは、凡人からすると本当に頭が下がる。凄い人って本当に凄いのである。

 

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