安全地帯を新境地を代表する曲
1987年リリース、安全地帯の15枚目のシングル。
「悲しみにさよなら」「青い瞳のエリス」の頃の爆発的な絶頂期の余勢をかって「プルシアンブルーの肖像」という映画まで公開した安全地帯。その後、「Friend」「好きさ」と、短いスパンでシングルを切っていくが、ツアーは好調でもレコードセールスの面ではイマイチな状態に入っていた。
そんな、人気に陰りが見えてきた頃の1曲が、この「じれったい」だ。
ボーカル玉置の異様な迫力も凄まじいこの曲は、オリコン2位と好発進を見せ、バンドを代表する名刺代わりの存在になった。
安全地帯は今でもたまにテレビに登場するが、その際には決まってこの曲を披露する。玉置のみならず、メンバーも特に気に入っている曲で、アレンジも非常に凝っていて、今聞いても個性的なサウンドだ。
とんねるずのオールナイトニッポンで初披露!
当時16歳の私は、安全地帯のアルバムには満足していたが、「熱視線」のようなスカッとしたシングルがなかなか出ないことを不満に思っていた。
玉置浩二がそうなのかプロデューサーがそうなのかは分からないが、安全地帯はとにかくシングルとなるとバラードが多い。勿論、歌唱が上手いので聴いていて嫌ではないが、バラードは好みではない私には物足りない。
そんな時、付き合っていた彼女から一本のカセットテープ(懐かしい…)を渡された。何でも、ラジオ「とんねるずのオールナイトニッポン」を聴いていたら、発売間近の安全地帯の新曲が流れたというのだ。
意外な組み合わせだが、当時、石橋貴明と玉置浩二は交流があり、飲み友達だと紹介されていた。そういう繋がりで番組中に新曲をかけたのかもしれない。なお、当時付き合っていた彼女も安全地帯のファンだったが、好きな曲は私と結構ズレており、それはそれで面白かった。
「〇〇(私のこと)はきっと好きな曲だと思うよ。」
との言葉に期待しながら、家に帰って早速、ラジカセ(懐かしい…)のボタンをガチッと押す私。
イントロを聴いた瞬間に、脳内に何かが放出されてグッときた。
「熱視線」は違い、ミドルテンポであったが、私を十二分に満足させる渾身の曲だった。「これだよ!これこれ!」私は小踊りしながらテープを巻き戻し(懐かしい…)て何回も何回も聴いた。
当時のファンの間では評価が割れた「じれったい」
しかしこの曲、当時の安全地帯ファンの間では評価が分かれる曲だった。
当時の玉置はクールですかしたイメージで売っており、曲中で披露するシャウト「BABY!」とか「AHHHH!」等のはっちゃけた感じは、ブレイク以降、形作ってきた”玉置像”とはズレがあるのだ。
事実、当時の男友達には概ね好評だった「じれったい」だが、付き合っていた彼女の評価は微妙だった。
安全地帯は、主に女性人気でこの地位まで駆け上がってきたバンドであるが、この曲で男性ファンを獲得すると同時に、女性ファンの何割かはふるいに掛けて落とされたのではないだろうか。
安全地帯は、この後も数枚のシングルを出すが大ヒットとはならず、シングル売上ランキングとしては少しずつ下降。
そして1988年、突然の活動休止を発表する。「活動休止=解散」と受け取った私のショックは相当大きかった。