【うつ病で休職】お金の心配は「有給」「傷病手当」「労災」で対応
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うつ病で休職…次の心配はお金!

うつ病になり、自宅療養や入院により会社を休むことになった場合、次の心配ごとはやはりお金のことです。なぜなら、多くの企業の休職制度は、休職中の身分は保証されるものの、休職期間中は無給であることが殆どだからです。

このように、休職中に得ることが出来ない給料を補填するものとして、3つの選択肢があります。

  1. 年次有給休暇(有休)を使う
  2. 社会保険の傷病手当金を使う
  3. 労災保険の休業補償を使う

年次有給休暇(有休)を使う

一番手としては、やはり年次有給休暇(有休)を使うことです。読んで字のごとくですが、有休とは、給料の有る休暇、という意味ですので、休んでいる期間も一切の減額なしに給料が支払われます。

欠点としては、うつ病による休職は長期になりやすく、有休を使い切っても足りないことが往々にしてあることです。その場合は、2の傷病手当金、3の労災保険ということになります。

なお、年次有給休暇の法律的な定めは、以下のようになります。

労働基準法第39条
年次有給休暇は雇入れの日から起算して、6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続または分割した10日の有給休暇を与えなければなりません。
(嘱託やアルバイト、パート労働者の場合も同じ。)
6ヶ月経過後は、継続勤務年数1年ごとに、その日数に1日(3年6ヶ月以後に2日)を加算した有給休暇を与えなければなりません。(ただし、有給休暇の総日数は20日が法律上の限度で、それ以上の日数を付与することは法律上要しません。)

労働基準法では、このように各企業が守るべき最低ラインを定めておりますが、企業によっては、この水準を上回る規程がされていることも多いため、事前に勤務先の担当者に問い合わせをしておくことが重要です。

社会保険の傷病手当金を使う

二番手としては、傷病手当金の受給申請を行うことが挙げられます。傷病手当金とは、病気による休業中の生活を保障するための制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な給料を貰えない場合に受給できるものです。

支給の条件

  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことが出来ないこと
  3. 連続する3日間を含み4日以上休んでいること
  4. 休業期間について給与の支払いがないこと

以上が基本条件となっており、もちろん、うつ病による休職の場合でも支給されます。なお、2については、担当医師による「うつ症状により〇月〇日~×月×日まで自宅療養を要す」などといった文言の診断書で証明することになります。

提出する書類と大まかな流れ

使用する書式 → 健康保険傷病手当金支給申請書

大まかな手順は以下の通りです。

  1. 傷病手当金は事後申請のため、既に休んで給料を受け取ることが出来なかった期間について、請求することになります。先ず、医師に就労不能であることの診断書と、健康保険傷病手当金支給請求書の医師の証明欄への記載を依頼します。(診断書は依頼当日に作成してもらえますが、傷病手当金支給請求書の証明欄の方は、後日になることが多いです。)
  2. 健康保険傷病手当金支給請求書の本人記入欄を記載し、病院から受け取った診断書と傷病手当金支給請求書を合わせて、勤務先の担当者宛てに送付します。
  3. 勤務先にて、傷病手当金支給請求書の会社記入欄に記載、押印の上、社会保険事務所に送付。
  4. 社会保険事務所で申請書チェック、後日、こちらが指定した口座に振り込み。

申請から振り込まれるまでの期間

私の場合、勤務先の担当者からは、1ヶ月くらいかかると思っていた方がいいと言われていましたが、実際には2週間ほどで通知ハガキが届き、無事に振り込みになりました。

支給される傷病手当金の額

支給される傷病手当金の額は、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の3分の2となっておりますが、標準報酬月額といってもピンこないと思うので表現を変えます。

あくまでザックリとした表現ですが、休職する前に毎月、会社から振り込まれていた手取り額(所得税など控除後)をやや下回るくらいの金額、と考えておけばOKです。

ただし、賞与に関しては傷病手当金の計算基礎に入りません。休職期間中は賞与の算定期間から除外する企業が大半だと思いますので、休職していることによって、賞与が減額されることは忘れないようにして下さい。

傷病手当金が支給される期間

傷病手当金が支給される期間は、支給開始の日から最長で1年6ヶ月です。注意しなければいけないのは、1年6ヶ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後、再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合(いわゆる再発した時)でも、1年6ヶ月に算入される点です。

労災保険の休業補償を使う

三番手は、労災保険による休業補償です。労災保険は、うつ病というよりは、勤務中の事故やケガに対して使われる制度で、療養費補償と休業補償に分かれています。

傷病手当金より労災保険の方が金額が多い

労災保険の場合は、給料(直近3ヶ月の平均賃金)の約8割と、傷病手当金の支給金額2/3に比べて、金額的に多くなります。また、直近1年間の賞与の額や残業手当も含めて計算されるので、通常勤務していた時と同等の年収が確保されます。

また、傷病手当金の支給期間が最長1年6ヶ月であるのに対し、労災保険にはその期限がありません。完治するまで受給することが出来ます。

労災保険のデメリットとは?

このように労災保険には、受け取る側にとってはメリットが多いのですが、デメリットというか、越えなければいけないハードルがいくつかあります。

  1. 労災として認定されるまでにかなりの時間がかかる、しかも認定率は40%以下と高くない
  2. 代理人(弁護士など)費用が別途かかる
  3. 労災認定に必要な証拠集めが必要
  4. 会社と闘うことになる覚悟が必要
  5. 復職後の人間関係や処遇に影響も
労災として認定されるまでに時間がかかる、しかも認定率は40%以下

うつ病が労働災害として認定されるには、業務起因性といって、「仕事(会社)が原因」だと証明出来た時です。

以下のようなケースであれば、労災認定の可能性が高いでしょう。

  • 常識を逸するノルマや責任が課せられていた時
  • 月100時間を超える残業、休日出勤などの長時間労働が慢性化していた時
  • セクハラやパワハラを受けていた場合

しかし、このような分かりやすいパターンではなく、グレーゾーンに該当するケースが多く、3にも関連しますが、調査や認定に時間がかかり、結果的に不認定になる場合も多いようです。

代理人(弁護士など)費用が別途かかる

労災保険の申請手続き自体は、それほど難しいものではありませんが、認定のための調査、証拠集めには専門家の力が必須です。

また、会社と闘うにあたり、冷静な第三者の存在は大きな味方になるでしょう。

労災認定に必要な証拠集めが必要

長時間労働ならタイムカードやシフト表、セクハラやパワハラであれば、ICレコーダーによる録音が決め手になるでしょう。

また、セクハラやパワハラを受けた時の、日時や内容を詳細にメモしておくことも、重要な証拠になります。

会社と闘うことになる覚悟が必要

労災保険は、うつ病だけでなく、むしろ勤務中のケガ等に対して使う制度なのですが、労災かどうかの判断も含めた申請業務そのものを会社が行っているケースが多く(私の会社もそうでした)、うつ病を罹患した側が一方的に労災申請すると、勤務先とのトラブルになるでしょう。

結果的に認定されるかどうかは別としても、労働基準監督署から徹底的に調査され、この企業からうつ病患者が出ていると知られることは、会社にとって社会的信用を失うことであり、避けたい事実です。

それを含んだ上で、罹患者側は会社と闘うことになります。そのための強い覚悟が必要です。

復職後の人間関係や処遇に影響も

認定されてもされなくても、会社を相手に闘ったという事実は、場合によっては大きな垣根を残すでしょう。会社に居づらくなることも十分にあり得ます。

解雇、ということはないでしょうが、肩身の狭い思いをすることになるでしょう。

まとめ

私の場合は、5ヶ月間休職したのですが、そのうちの2ヶ月は有休を使って給料を貰い、残りの3ヶ月は傷病手当金の受給によって生活費を工面しました。

パワハラの証拠はノートに詳しく残してあったので、私に覚悟があれば、労災認定に向けて闘うことが出来ました。パワハラの内容はいくつかグレーゾーンを逸していたものがあったので、争えば恐らく勝てたのではないかと思っています。

しかし、30年近く務めた会社であり、パワハラの相手からも、過去には世話になったこともありました。それに、自分の年齢のことや不景気な地域の状況などを考えた時に、私は退職する決意を最後まで持つことが出来ませんでした。

そして、うつ病を癒して職場復帰する道を選びました。この先、どうなっていくのかは分かりませんが、今度は自分を壊さないように、ボチボチ行こうと思っています。

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