1986年リリース、吉川晃司7枚目のシングル。

デビュー曲「モニカ」から大々的に売り出された吉川晃司は一気にトップアイドルまで昇りつめたが、この「キャンドルの瞳」の前シングルである「RAIN-DANCEがきこえる」で早々に脱アイドル路線に舵を切り、そこからは自作曲メインのアーティストに変化していった。

1980年代中期は、アイドル的な扱われ方をされつつも、まだ日本の音楽界が歌謡曲一辺倒であったために、歌謡曲とロック(当時はニューミュージックなどとも表現された)の境界線上をもがいているアーティスト指向のバンドは数多かった。

当時の例では、チェッカーズ、安全地帯、C-C-Bなどがその代表格だったが、吉川晃司はソロ歌手であり、当時よりもちょっと前の沢田研二的というか珍しい存在だった。2021年の現在でも第一線で活躍するミュージシャンだが、「ロッカー」という表現の方がしっくりくる。

初めて吉川晃司をテレビで見た時は、「随分と無茶苦茶な動きで歌う、とっぽいアイドルだなあ」と思った程度で、特に惹かれなかった。しかし、この曲をテレビのベストテン番組で披露した際には、チャラチャラしたスーツを着崩して、派手なステップで踊る姿に見惚れてしまった。

原田龍二が作曲した変化球な曲調も好みではあったが、踊る姿に見惚れる、というのは私にとって初めての体験だった。とにかく「スゲェ!」を通し越して、カッコよさに惚れてしまったのだ。

彼のダンスは曲に合わせた「振り」ではなく、リズムに乗った身体が自然に跳ねるような一過性のもので、大よその型はあっても、テレビに出てくる度にイチイチ違う動きをしていた。この「キャンドルの瞳」も放送の度にアチコチ違うが、個人的にはここで紹介したのが一番好き。

吉川晃司のダンスは、一流のダンサーやダンスグループが練習を重ねた巧さとかキレとは違う、都会的なビートを軽くいなすようなヤンチャさに溢れていた。ダンスが巧い!ではなく、ただただカッコいい。

吉川晃司が、その後30年以上に渡ってロックミュージシャンとして支持され続けてきたのは、私のような一般人が、ひたすらカッコいい彼のどこかに憧れ、また惚れてきたからではないかと思う。

ちなみに、2014年にリメイクされているバージョンは、オリジナルをベースにしながらもギターが全面にフューチャーされていて、これまたカッコよい仕上がりになっている。是非、聴いてほしい。

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