筋肉少女帯3枚目のアルバム「猫のテブクロ」
1989年リリース、筋肉少女帯3枚目のアルバム「猫のテブクロ」に収録された1曲。
筋肉少女帯…、これはもうハッキリと好き嫌いが分かれるロックバンドだ。肌に合うか合わないか…、初見で拒絶反応があれば、もうずっと無理だと思う。
そんなニッチな音楽性だが、近年では「打首獄門同好会」というフォロワー的なバンドもおり、このジャンルの系譜が未だに健在なことには少し驚く。
しかし、この筋肉少女帯というバンド、確かにその全曲を素直に純粋に、サラッと好きだとは言い切れない難しさがある。
大槻ケンジの詩は、メロディーに乗せる歌詞の範疇に留まらない世界感があり、私にはその深い詩の意味するところを理解出来ない部分がある。
私は、この「猫のテブクロ」ともう1枚のアルバム「SISTER STRAWBERRY」を持っており、繰り返し聴いてきたが、じっくりと年数を掛けて理解できる曲が増えてきたといった感じだ。
購入した20歳代の頃と中年では感性も違うので、それも当然かもしれないが、この「これでいいのだ」に関しては初視聴の時からずっと大好きだ。
大槻ケンジのパワー炸裂!「これでいいのだ」
赤塚不二夫氏の傑作ギャグマンガ「天才バカボン」から持ってきている「これでいいのだ」をキーワードにした歌詞は、ある男の人生の一部始終を詩にしており、聴けば聴くほど、ふざけた曲、ギャクの歌かと思った(思わされていた)リスナーの耳に深く刺さってくる。
ライブのオープニングみたいな勢いで始まり、激熱なギターのうねりと叩きつけるようなボーカルで疾走するAメロにBメロ。
合間には主人公の彼女の台詞も入り、シャウトとコーラスでテンションを上げ続ける。この段階で引いてしまう人もいるかもしれないが、ストーリー性の高い詩のせいで物語の先が気になる。
そんな人は熱いサビを乗り越えて、最後まで聴いてみよう!
大まかな物語としてはこうだ。
…無実なのに、法定では彼女でさえ自分を信じてはくれなかった。そして仕方なく罪を認めて13年間服役、そして恋人に再会。
その後の13年は彼女と幸せに暮らすが、14年目に彼女は死んでしまい、満天の星空の下、男は人生の無情を感じ途方に暮れる。
「テレビの男がいう、西から昇ったお日様が東に沈み、これでいいのだ、そうだ、これでいいのだ、だがしかし…、だがしかーし!」
人生も半ばを過ぎ、パワハラと激務により、うつ病で休職した私(2018.2~2018.6)には特に響くものがあった。
【筋少】変なバンドと思われがちだがサウンドは王道&正統派!
雰囲気に浸る曲は他にも「SISTER STRAWBERRY」収録の「夜歩く」もオススメ。
他には、シンプルなサビがひと際、物悲しさを誘う「小さな恋のメロディ」は、筋少のイメージが変わること請け合い。
また冗談みたいな曲と思わせて実はグッとくる「日本の米」のギターソロ、初期の名作「釈迦」の攻撃的なギターには圧倒される。
ちなみに、ビジュアルや詩は別として、バンドとしての音は正統派のパンクロック。
キャラの濃すぎる「筋肉少女帯」だが、唸るギターを堪能したい方、大槻ケンジの奥深い世界に浸りたい方、そして見た目と先入観で食わず嫌いをしている方に特にお勧め!