【林哲司】菊池桃子「Broken Sunset」
1986年リリース、菊池桃子7枚目のシングル。
当時のアイドル勢の中でも、既に固定人気を確立した時期のリリースとあって、既にこなれた感がある間違いのない一曲。
この曲の作曲・編曲は林哲司。同時期に流行っていた杉山清貴&オメガトライブの「ふたりの夏物語」をはじめ、林哲司の曲も巷に溢れてはいたが、菊池桃子との相性が抜群だったように思う。
菊池桃子は決して歌唱力に秀でたアイドルではなく、むしろ反対の方だったが、あの囁くような歌声と、清潔感と癒しを感じさせるルックスで独自のファン層を築いていた。
ローカルラジオ番組「ベストテン北海道」
ちょっとローカルな話題になるが、当時、私の地元では「ベストテン北海道」というラジオ番組があり、ある時期の企画で、毎日、曲名をあいうえお順にランキングしていくコーナーがあった。
今日は「あ」で始まる曲でリクエスト受付、この日はハガキの紹介などの番組進行の傍ら「あ」で始まる曲しか流されず、番組後半ではリクエストの多かったベスト3が発表される。
当時、よくつるんでいた中学校の仲間5人でこのラジオを聞いていたのだが、ある時、「ふ」で始まるランキングの日があった。
これがまた偶然にも、それぞれの推しに合わせて綺麗に分かれたのである。
私「プルシンアンブルーの肖像」(安全地帯)
友人A「フレンズ」(レベッカ)
友人B「不自然な君が好き」(C-C-B)
友人C「ふたりの夏物語」(杉山清貴&オメガトライブ)
いずれもテレビのベストテン番組で上位になったヒット曲であり、当時のアーティストパワーから言っても、ランキング予想は難しかった。
てっぺんは獲れなかった…、菊池桃子
そして、もう一人の友達、菊池桃子ファンの奴がいたのだが、彼のエントリー曲は「Broken Sunset」。
私達4人は、流石にそれは苦しいんじゃないかと笑ったが、彼は譲らない。
彼は、私の当時の友人達の中で一番洒落たファッションセンスを持ち、甘いマスクもあって結構モテる奴だった。今でいう「チャラい」要素もあったような気もするが、情に厚く、誰にでも分け隔てなく接する優しい誠実な男だった。
かくして、私達は夕方までギャーギャー騒いで自宅に帰り、その日の晩、5人注目のランキングが発表された。
番組ではベスト3のみ順位がつけられて発表されるが、恒例として、ベスト3発表の直前に、惜しかった4位として曲がかかるようになっていた。
私は安全地帯のベスト3入りは厳しいと思っていたので4位に期待していたが、直前に流れてきたのは「フレンズ」で、結構ショックを受けた記憶が残っている。
3位は忘れてしまったが、誰の推しでもない曲がランクインしたはず、そして2位がC-C-B、1位は杉山清貴だった。
菊池桃子はというと、やはり選外。
「Broken Sunset」は個人的に好きな曲だけど、彼女の代表曲でもなく、当時の菊池桃子に、このランキングに入り込むほどのパワー(電話リクエスト人気)は無かった。
友人がどれほど落ち込んだかは定かではないが、菊池桃子は結構な人気を誇りながらも、トップだった時期は無かったように思う。
私は、菊池桃子ファンの友人の手前、あまり前面には出さなかったが、菊池桃子の歌が結構好きだった。
特にこの歌を聞くとラジオの一件を思い出してしまう、大事な思い出の曲だ。