【林哲司の名曲】中森明菜「北ウイング」
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【林哲司の名曲】中森明菜「北ウイング」

1984年1月1日リリース、中森明菜の7枚目のシングル。

スローモーション」「少女A」「セカンド・ラブ」「1/2の神話」「トワイライト・夕暮れ便り」「禁区」という流れからリリースされた名曲「北ウイング」。

デビューからしばらくの間、中森明菜は、山口百恵を連想させるツッパリ女子曲と、それと真逆な純真恋歌を交互に繰り出してバランスを取っていたが、この「北ウイング」は、文字通り別次元へと飛び立った重要曲。

中森は楽曲にあたり、杉山清貴&オメガトライブや菊池桃子の大半のシングルを手掛けていた林哲司を指名。

曲タイトルも「ミッドナイトフライト」や「夜間飛行」といった候補ではなく自ら「北ウイング」を提案。

ブラウン管の「明菜ちゃん」は、楽曲作りにあたり、当時の世間イメージより遥かにアーティストな関わりをしており、この時点で既にアイドル歌手ではなかったことがよく分かる。

80年代を代表する林哲司と「Dang Dang 気になる」

林哲司は、80年代を代表する超ヒットメーカーの一人。

杉山清貴&オメガや菊池桃子以外では、河合奈保子「デビュー〜Fly Me To Love」、原田知世「天国にいちばん近い島」など、女性アイドルへの楽曲提供が多く、杏里「悲しみがとまらない」他、ヒット曲も多数ある。

しかし林哲司は、多種多様なバリエーションでリスナーを驚かせる筒美京平氏とは違い、必殺の得意技ひとつで城を築いた

A~Bメロを低中音域で抑え、美しい旋律のサビを高音で駆け抜けるという、強力な一本の型、いわば「林哲司の呼吸、一の型」。

これがまあ、ワンパターンと言えばまあその通りなんだけど、イントロはお洒落だしメロディは綺麗だしテンポも心地良いしと、いいことづくめの出来栄えで、いくら聴いても飽きない。

有名どころを除いた個人的な推し曲は、中村由真が1989年にリリースした「Dang Dang 気になる」。

アニメ「美味しんぼ」のOP曲ということ以外、目立った印象もなく埋没した、いかにも当時らしい曲だったが、2010年代に起きた日本シティポップ再評価の流れで着目され、2023年になって武藤彩未にカバーされた。

武藤彩未のボーカルとシンセサウンドの相性が良く、一聴の価値あり!

ちなみに林哲司本人としては、単にアニメ主題歌として製作したものに過ぎず、代表曲のひとつみたいに扱われることに困惑している様子‥‥。

2023年11月 中森明菜がリメイクした「北ウイング」誕生!

北ウイングに話を戻すが、頭サビの綺麗なメロディでさらった後、まさに明菜さんだよね!っていう感の低音歌唱で落ち着かせ、Bメロで静かに揺り動かし、ドガーンと美サビ炸裂、という流れ、もう完璧。

「夢の中をさまようように 夜をよぎり 追いかけて 夜間飛行(ミッドナイトフライト)」のサビは、バックの鍵盤が効いていて厚みがあり、気持ちよさしかない。

このサビに嫌悪感を感じる人は、もう日本人、いや人間じゃないだろう。

林哲司の中森明菜は新境地といってよく、もう一発あっても面白かった気がするが、以降のシングルは玉置浩二「サザン・ウインド」、高中正義「十戒(1984)」、井上陽水「飾りじゃないのよ涙」と再びシングルでのタッグはなかった。(アルバム曲提供は6曲ある)。

2023年11月、活動50周年を記念した林哲司の初トリビュートアルバムが発売されたが、そのトップを飾るのが「北ウイング」。(なんと前述の「Dang Dang 気になる」も今度は上坂すみれ版で収録!)

クラシックアレンジのバラードで、キーも下がって、ところどころ枯れた歌声にはなっているが、しっかりと「中森明菜の北ウイング」感があり、往年のファンの期待に応える出来栄えだ。

体調不良や事務所トラブルなどにより活動再開と休止を繰り返し、もう長いこと表舞台には出てきていない中森明菜の新録ということで、大きく取り上げられている。

林哲司の活動50周年記念コンサートの告示では「※本公演に中森明菜さんの出演予定はございません」と注意書きされるほど、音楽界にもファンにも復活を切望されている中森明菜。

年末の紅白歌合戦の人気取りのために期待されたりするのは可愛そうだし、中森明菜がそんなものを背負う必要は全くないが、ご本人の気が向いた時に公の場に出てこれるくらいに元気になってほしいなと願っている。

 

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