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伝説のバンド「KUWATA BAND」

1986年リリース、KUWATA BANDの2枚目のシングル。

KUWATA BANDは、サザンオールスターズのリーダーである桑田佳祐が、メンバーであり妻でもある原由子が妊娠出産で休んでいる1年間限定で、「デタラメなロックをやりたい」という思いからスタジオミュージシャンを中心に結成。

僅か1年弱の間に、シングル4枚にオリジナルアルバム1枚、ライブアルバム1枚をリリース、精力的な活動をした伝説のバンドだ。

しかし、KUWATA BANDと言ってみたところで、前面に出てくるのはサザンオールスターズの桑田佳祐であるため、一般リスナーからすると、サザンとの違いは見出しにくいのが現実。

サザンオールスターズというバンドは、1970年代後半のデビューから50年経った現在においても邦楽界の第一線に位置する、大変に息の長いバンドだが、デビューから8年を経た1986年の時点では「いとしのエリー」などのヒット作はあるものの、まだオリコン1位を記録するシングルがない状態だった。

そんな中、「KUWATA BAND」という別のバンドでリリースした「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」では、あっさりと1位を獲得し、TBSの「ザ・ベストテン」では、6週連続1位という快挙を達成した。

桑田佳祐という存在…

実は、私は、サザンオールスターズ…というか、桑田佳祐という、およそ日本というカテゴリーで大成功したミュージシャンに関して、未だに自分のなかでの評価が定まっていない。

桑田佳祐は、果たして本当に音楽の才覚が凄いのか?

あの歌詞のセンスや歌い方は本当の本物なのか?

それともミュージシャンとしてのキャラや音楽性が一貫していて個性も強いから独自の立ち位置を確立したのか?

はたまた自己分析やプロデュース能力が図抜けて上手いのか…?

こういった面倒くさい穿った見方は、私もいい歳になってから何となく考えるようになったことだが、大ブレイクを果たした1990年代以降から現在に至るまで、日本において「桑田佳祐」は正にひとつのブランドであり、それにケチをつけることは、音楽を分かっていない人として、周囲からコケにされるほどに大きな存在だ。

好きとか嫌いとかを超越した存在。例えば、古くからは「長渕剛」「松任谷由実」「矢沢永吉」、また平成以降では「ミスチル」「ドリカム」等々…。

こういった巨大な方々は、やはり独自のオーラを纏っており、たとえそれが自分の好きなタイプではなかったとしても、凄いミュージシャンとして認めなくてはならないのである。

「桑田佳祐」と「サザンオールスターズ」は、そういうブランドを確立した存在だ。

私が、音楽というものに興味が湧いて、レコードやCDにお金を使うようになって随分と経つが、桑田佳祐がリリースした音楽で、自前で購入したのは、この「スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)」のシングルレコードが最初だ。

…しかし、これが最後になるかもしれない。

イヤイヤ、この曲で桑田佳祐のことが嫌いになった訳では全くない。

スキップビートの前、サザンのアルバム「KAMAKURA」は素直に惹かれて聴きこんだし、この曲の「スケベ!スケベ!」と連呼する潔さは、まだまだ幼稚だった自分にとっても痛快で「スケベって言い切っているよこの歌、スゲー曲だな!」と、脱帽した思い出の曲だ。

サザンは、桑田佳祐は、今の地位を望んでいたのだろうか?

しかし…、である。

桑田佳祐のことは今でも決して嫌いではないし、むしろ好きな方のアーティストではあるが、もう、彼の音楽を自腹で購入することはないだろうな、と考える自分がいる。

KUWATA BANDとしての音楽活動で何かの殻を破ったような桑田佳祐は、その後、活動再開したサザンオールスターズでビッグヒットを連発するようになった。

そして、本人達の意向とは別に、先に述べた、サザンのブランド化が進行した。

日本屈指のビッグバンドとして、アーティストパワーも、セールス面でも、ずば抜けた実績を残すようになったサザンオールスターズ。

しかし、楽曲的には、どうにも彼ららしい旨味がどんどん無くなっていったというか、「シュラバ★ラ★バンバ」のような、ちょっと癖のある曲でも、全部計算づくで狙っている感が強くなったように個人的には感じた。

…こんな風に思っているのは、私一人かもしれない。

 

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