「年金じゃ足りないから2,000万円貯めろ」は皆わかっていた話

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年金制度崩壊の足音

私は、テレビはあまり見ず、情報源はネットと新聞が中心だが、妻とその母親、子供2人の5人家族でマイホームやマイカー、また子供の教育費のやり繰りに四苦八苦する、日本中に山ほどいる、ごくごく平凡なサラリーマンだ。

そんな私だが、「年金だけでは足りない、老後30年には2,000万円必要」というハナシには、全く驚きを感じなかった。

「ああ、やっぱり」という程度で、発言した政治家や与党に対し、特段、腹が立つわけでもない。

…だって、もうずっと前から、きっとそうだろうな、と思っていたもの。

ネタは何でもいいからとにかく与党を攻撃したい野党、立憲民主党や共産党は息巻いているが、仮に彼らが政権についていたとしても、この問題「年金だけでは2,000万円足りない」は絶対に回避出来なかった。

彼らは自民党にケチをつけたいだけで、対案も無ければ執行能力も無い。きっと目的は他にあるのだろう。

世間の殆どの人達は、それも分かっている。だから、自民党に対して相応の文句や舌打ちは出てくるが、倒閣するようなレベルの強力な批判や動きは出てこない。

この20年間で起こった変化

私達は、自分の身の回りでどんどん生まれる子供が少なくなり、反対に年寄りが増えてきていることを肌で感じてきた。

だってそうだろう。人口のボリュームゾーンを形成する団塊世代は70歳代に入ったが、自分の子供達である団塊ジュニアはなかなか結婚せず、また結婚してもお目出度いハナシはなかなか聞こえて来なかった。

ひと昔前は割と当たり前だった沢山の孫に恵まれることは、平成の世の中では珍しいことになっていた。

気が付くと、幼稚園が少なくなり、小中学校が次々に統合され、野球部やサッカー部といった主流の部活動でさえも学校混成が珍しくなくなった。

新しく建築される建物の多くは、グループホームやデイサービス関連で、一昔前は「老人ホーム」と言っていたものだ。そしてそれらは、田舎の地方都市で加速している。

人手を必要とする製造業では、いくら募集をかけようとも労働力を集めることが出来なくなり、外国人実習生がそれを肩代わりすることになった。そして様々な業種で定年後の再雇用も当たり前になった。

早々にリタイヤして悠々自適な生活…は、昔から夢だったが、今では夢より遠のいた不可能に近い幻想になってしまった。

自分自身の職場は元より、親や親戚、知人、どこを見渡しても、そんなハナシしか無い。

「この国はもう、老後を年金でどうにかできる状態じゃない」と、そう考えるのが普通だ。

「少子高齢化」は一体誰のせい?

これは、長らく政権についてきた与党、自民党のせい(だけ)ではない、と多くの人が思っている。

勿論、もっと危機感が早くに高まっていれば、必要なタイミングでもっと有効な政策は打ち出せただろう。政治にそういう責任はあるが、しかしそれでも、少子高齢化を多少延命することしかできなかったのではないだろうか。

晩婚化が進んだり、産まれてくる子供が少なくなったりしたのは、政治のせい(だけ)ではない。だって日本では中国のように「一人っ子政策」を出されたことは無いのだ。

実質賃金が目減りしていたり、派遣労働者が増えて、結婚や出産を躊躇する若者が増えた、というのが、少子高齢化に拍車がかかった理由としてクローズアップされるが、それはひとつの事実だとしても、本当の本質ではないと思う。

子供を持つ、という、日本人ひとりひとりの思想、人生観に関わることが、団塊ジュニア世代以降、大きく変質したのだ。

団塊ジュニア世代は、子沢山な人生を否定した

私は、現在(2019年)48歳になった団塊ジュニア世代のど真ん中に居るが、同世代の人達で「将来は子供が沢山ほしい」などと言っている人は居なかった。

「子供ね…、2人で十分かな?」「ウチは1人でいいな」「子供なんて別に居なくてもいいな」これがウチラ世代の考え方だった。

むしろ、「子沢山なんて古臭い」と前時代的なものとして否定し、簡単に言うと、そんなのは格好の悪い人生だとするのが普通の感覚だった。

こんな風になったのは、政治の作用によるものではない。もっと別の何かだ。しかしこれでは、将来の年金制度を支えることは出来ない。

ひょっとすると、日本という国は、いや日本人という民族は、成長期を過ぎて成熟を通り越し、朽ちて落ちようとしているのか…?

他に優先すべき緊急課題に取り組むのが精一杯で、政治家も、私達も、この国の、この民族の存亡にかかわる大きな課題を先送りしてしまった。

そして、そのツケを、私達は払わなくてはならない。

だから、老後を幸せに暮らしたければ2,000万円を貯めなくてはならないのだ。私には定年後の2,000万円の当てはないが、それが現実だ。

政府を責めればいいというものではない。何のことは無い、至極当たり前のハナシなのだ…。

 

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