【うつ病の薬】薬は意味がない?経験者がその効果について語る

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うつ病の薬に対する一般的なイメージは…?

うつ病の治療には薬が使われます。では、その薬が精神にどんな作用をもたらし、どんな効果があるのかご存知でしょうか?例えば、インフルエンザならウイルスの増殖を抑制して発熱や咳等の諸症状を改善させる、胃痛なら粘膜を保護して痛みを和らげる…、と薬の作用と狙った効果を大体知っていますが、では、うつ病なら…?

うつ病の諸症状は様々ですが、代表的なものとして、「気分が落ち込む」「不安感」「焦燥感」などがあります。うつ病の薬は、これらを緩和する効果があるようです。

これを聞いて、「何となく得体の知れない薬だな…。」と、こんな風に思ったのは私だけではないはず。それに、何となくですが、そういう薬は「常習性がありそう」「怖い副作用がありそう」「人格が変わってしまうのでは」という不安も感じます。

また一方では、うつ病の薬は「プラシーボ効果」しかなく意味が無い、などとしている書籍も散見され、毎日服用している私の心を揺さぶります。

では、うつ病の治療になぜ薬が使われるのでしょうか?

うつ病は治療が必要な「脳の病気」である

うつ病の治療になぜ薬が使われるのかを説明する前に、先ず、うつ病の発症メカニズムを脳科学の観点から理解しましょう。

私達の気分や感情を司っているのは脳ですが、うつ病とは、この脳に、何らかの機能的な不調が起こっていることが分かっており、現在では、心の専門医の間でも、「うつ病は脳の病気」だとする考えが定着しているようです。

私達の脳の中には、1千数百億個もの神経細胞があり、無数のアンテナが張り巡らされておりますが、これらは相互に密着しているのではなく、わずかな隙間があります。このアンテナ間を行き来して情報を伝達する物質を「神経伝達物質」といい、様々な種類が発見されています。

その中で、気分・感情などの行動に関わるとされているのが「ドーパミン」「セロトニン」「ノルアドレナリン」で、総称して「モノアミン」と呼ばれます。

そして、このモノアミンが不足することによって、脳内の情報伝達機能が阻害され、うつ病が発生するのではないかと考えられています。

※株式会社 法研「ウルトラ図解 うつ病」より引用

うつ病の薬は、この「モノアミン」の働きを増強させる作用がある

ちょっと専門的な話になってしまいましたが、要するに、ストレスや性格など様々な要因が複合的に作用した結果、脳内の情報伝達物質であるモノアミンが不足し、それがうつ病に繋がるのではないか、というのが、現在の西洋医学の主流の考え方のようです。

であれば、モノアミンを増強する作用のある薬を投与して、モノアミン不足を解消し、うつ病の症状を緩和させよう、というのが、うつ病の投薬治療となります。

こうして見ていくと、うつ病の薬は、決して得体の知れない麻薬のようなものではなく、足りなくなった物質を補うためのサプリメントのようなものと考えてよさそうに思いませんか?

では、実際の効果のほどは…?

ここからが本題です。長くてすいません。で、私は、この記事を書くまでの1年9ヶ月の間(2018年5月現在)、うつ病の薬を飲んできました。

先ず最初に処方されたのが、「スルピリド(商品名:ドグマチール)」次が、「ミルタザピン(商品名:リフレックス)」その次は、「ベンラファキシン(商品名:イフェクサー)」最後が「アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)」の4種類です。

まだ寛解(うつ病では完治のことをこのように称する)を迎えていないので、この先、新しい薬が増えるかもしれませんが、今は、スルピリド以外の3種類を飲んでいます。

スルピリド(毎食後に服用)

これをのみを単体で飲んでいた約9ヶ月間、全く効いている気がしませんでした。副作用も全くありませんでしたが、私にとっては、気休め以外の何物でもなかったです。

胃腸薬としての側面もあるようで、元々、抗うつ薬としての作用は弱いようです。

リフレックス(就寝前に服用)

これは、初日から1週間くらい、眠気の副作用が凄かったです。うつ病の具合も悪い時だったのであまり参考にならないかもしれませんが、食事以外は殆ど寝ていました。それと、口の渇きも2~3日ありました。

抗うつ薬としての効果ですが、飲み始めて3週間くらい経った頃から、強い落ち込みが抑えられ、比較的穏やかな心境でいられたので、とても助かりました。休職していたことが大きかったとは思いますが、薬の効能はあったと思います。

しかし、長期間飲み続けた結果、7~8㎏の体重増加になりました。最初に処方される時に、医師より「代謝が落ちるのと食欲増進の副作用がある」と言われていたのですが、その通りでした。

イフェクサー(就寝前に服用)

体重増加が凄いので、リフレックス以外の薬にしてもらえないかと申し出たところ、こちらを処方されました。今はリフレックスと併用していますが、近々、こちらに一本化する予定です。

効果ですが、切り替え後も、まずまず順調に回復推移にあるので、リフレックスと同じくらいの効き目があるものと私は感じています。

エビリファイ(朝食後に服用)

リフレックスとイフェクサーの効果を後押しする作用があるとのことで処方されました。当人の実感としては正直、よく分からないです。

うつ病の薬とアルコール

では、うつ病の薬とアルコールの関連はどうでしょうか。医師には、アルコールは控えるように言われると思いますし、処方箋にもそのように書いてあります。しかし、私のように晩酌を楽しみにしている者にとっては、うつ病治療の長い間、禁酒を続けるのはかなり辛いものがあります。

そこで、思い切って医師に相談してみました。すると、こんな回答が返ってきました。

「〇〇さんの場合、奥さんと一緒に晩酌をして和やかに過ごす一時は、うつ病の回復に大きな役割を担っていると考えられますので、飲酒量をコントロールしながらであれば、宜しいのではないでしょうか」

飲酒をすると薬の血中濃度に影響を与えるため、薬の服用中は飲酒をしないというのが一番なのは間違いないので、私の場合について、メリットとデメリットを天秤にかけた時の回答だと思います。よって、全ての人に当てはまる訳ではありません。あくまで、担当医師の指示に従いますよう、お願い致します。

ちなみに、睡眠導入剤を服用している場合は、絶対に飲酒はダメなので、くれぐれもご注意下さい。

まとめ

飲み始める前は、何だか勇気が必要だった「抗うつ剤」でしたが、飲む前の変な先入観「人格がおかしくなる」「依存性がある」「恐ろしい副作用がある」などは、全部杞憂でした。

私は、まだまだ飲み続けなくてはならない立場です。なので、堂々と言い切ることは出来ません。しかし、これらの「うつ病の薬」は、確かに即効性は全くありませんが、十分な休養と併用することで、ゆっくりとじわじわ効いてきます。

この記事を読まれている方々は、恐らくうつ病患者かと思いますが、「なんだこのクソ薬!ちっとも効かねえじゃんか!」という気持ちをグッと我慢して、辛抱強く飲んでみて下さい。きっと後から、この「うつ病の薬」を見直すことになるはずです。

本当に時間がかかる上に、回復度合いを測りにくい病気ですが、継続は力なりという言葉を信じて、ともに寛解に向けて歩んでいきましょう。

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