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うつ病を治すには「まとまった休息」を取るしかない
うつ病を治すための一番の方法は休息です。しかも会社の人間関係や仕事のことを完全に忘れることの出来る状態で、しっかりとまとまった期間を休むことです。
そして、会社勤めをしている者が、その身分を維持したままで、まとまった休息を取るには「有給休暇の連続消化」か「休職」しかありません。私は、うつ病と診断されてからの2年間で2度、長期で会社を休みました。1回目は5週間で有休を使い、2回目は5ヶ月で有休と傷病手当金を使いました。
ここでは、私自身の2度の休職経験で分かった、うつ病治療に対する休職の効果についてまとめています。
「うつ病による休職」の状態変化について
1回目の休職は、2017年の5月末から6月末にかけての5週間でした。
これまでの気の迷いとか落ち込みとは違う異様な重苦しさから、心療内科に通い始めるようになって9ヵ月が経ったある朝、いつものようにマイカーで会社の近くまで来たのに、心身の異常な拒絶反応から、どうしても敷地内に入ることが出来なかった私は、その翌日に診察を受けた医師に「うつ病による休職」を勧められました。
1度目の休職(休職5週間の状態変化)
「病名:うつ病、一ヶ月の自宅療養を要する」という診断書が出され、休みに入った私ですが、しばらく会社に行かなくてよいことに物凄くホッとしたのと、俺って本当に一ヶ月も休むの?と思ったのが正直な感想でした。
1週目:1日のうちの3分の2は眠っている、何の意欲もなく、殆ど部屋に引きこもっている状態
2週目:1週目と同じ
3週目:1~2週目に比べると、部屋から出て家族と会話をしたりする時間が増える。
4週目:活動意欲が増して外出する意欲も出てくるが、活動後、数時間ほど寝込む等の反動が出る
5週目:活動意欲が更に回復、趣味の料理をしたり、短時間の釣りに出かけることが出来る
私の場合、4週目に上司から復帰促しの電話があり、回復途上を感じていた時なのでかなり悩みました。医師や妻からは反対されましたが、早く復帰しなければという気持ちが勝り、医師の診断に従わずに6週目には職場復帰をしました。
復帰後は緩やかに回復基調を辿っているように感じましたが、それは非常に脆いもので、ちょっとした切っ掛けで急降下し、7ヶ月後には再び休職に入ってしまいました。
2度目の休職(休職5ヶ月の状態変化)
2度目は、うつ病発症の原因である役員Aや上司Aに促され、妻に相談した後で休職に入りました。勤務中、たった1時間でも集中して仕事に向かうことが出来ず、半日で終わる慣れた仕事に2日も3日もかかり、気が付けば「うつノート」に何かを書き連ね、業務上の説明や指示に対する理解力すらも低下している様子を見かねてのものでした。
ただ、前回のように、出社を心身が拒絶するような極限状態に達した時とは違い、いわば慢性になっていたので、休職に入ってからの経過は前回とは違ったものになりました。
1週目:ひとまず解放された安堵感を味わいながら、昼前に起きた後も横になるばかりの状態
2週目:1週目と同じ
3週目:1~2週目とほぼ同じだが、病気を治すためにこの貴重な時間をどう使うかを考えたりもする
4週目:3週目と同じ
5週目:うつ病の闘病ブログ(このブログ)を始める、以降、職場復帰まで毎日更新を続ける
6週目:毎日40分程度のウォーキングを妻と始める
7週目:休職前に酷かった首から肩、両腕のコリがほぐれていることに気付く
8週目:休職前に携わっていた仕事のことが殆ど気にならなくなる
3ヶ月:妻や家族と和やかに過ごす時間が長くなり雑談も増える、家事をする機会が増える
4ヶ月:職場復帰を想像して暗くなったりする、天候悪化にメンタルが連動していることに気付く
5ヶ月:以前の自分に9割以上戻ったような感触を持つ(これは錯覚で実は7~8割)
私の2回目の休職は、ちょうど5ヶ月間が経ったところで終了、新天地への異動で職場復帰となりました。
なぜ、うつ病の休職は最低3ヶ月間なのか?その理由は?
うつ病による休職期間は、最短で3ヶ月間とされるのが普通です。私は、一度目の休職(有休消化なので厳密には休職ではない)が5週間でしたが、これは、上司からの復帰促しを受けて悩んだ末の、医師の指示を無視したものであり、案の定、ちっとも良くなっていませんでした。
病気真っ最中の頭では理解できませんが、うつ病の休職期間が3ヶ月間以上とされているのには、ちゃんと理由があります。ひとまず3ヶ月くらいとか、大体このぐらい休んでおけば、というアバウトなものでは無いのです。
それはなぜか?私の2度目の休職で8週間目のところに「休職前に携わっていた仕事のことが殆ど気にならなくなる」と、字を赤くして記していますが、ここが超重要ポイントでした。
数年から数十年にも渡ってずーっと仕事をしてきた人が、急に1ヶ月やそこら休んだところで、意識の奥底にこびりついている、やりかけの仕事や職場のことがすっかり消えるはずもありません。特に私の場合は、仕事の問い合わせもちょくちょくあったので、なかなか仕事のことが頭から離れませんでした。
しかし、それも8週目、2ヶ月が過ぎる頃になると、休職前の案件は大抵が終わっており、自分が職場を離れたことによる当面の心配事は殆ど無くなります。
そして、自分が居なくても機能している職場を、初めて俯瞰して眺めることが出来る心境になってきます。現役感が急に薄れ、定年でリタイヤした人ってこんな感じかな?等と思うようになります。
そう、ここからが、本当の休養です!
ここに到達して初めて、うつ病で疲弊し切っていた精神(=心と言ってもいい)を癒していくことになるのです。私を診察した医師は、「気力を貯めていく」という言い方をしました。正に「充電」のスタートです。
うつ病休職の過ごし方
前述の理由により、うつ病による休職は最低3ヶ月間とすることを強くお勧めします。職場復帰を先走ると、私の一度目のように失敗します。
そして、休職中は職場からの連絡受けも、こちらからの定期連絡も当面は絶って、ただひたすらボーっと何もせずにダラダラと過ごすのが最良です。
どうしても定期連絡をしなければならない場合は、配偶者など信頼できる第三者に、自分と職場の間に入ってもらうようにすると、段違いに気が楽になり、結果、回復が後押しされます。
こんなことしていて病気が良くなるのか?本当に自分は元に戻るのだろうか?職場の皆はどう思っているんだろう?妻や肉親にどう話をしたら…?などと色々考えたり不安になりますが、一切、気にする必要はありません。
気持ちはよーっく分かりますが、順番があります。今はとにかく、休むことです。全てはそこからです。本人も、ご家族も、焦らずにゆっくり行きましょう。→うつ病関連 その6「うつ病患者への接し方 本人はこう思っている! 家族の心構え」
「この病気は、時間を掛けてゆっくり治したほうがいいのです。」主治医が私に言った言葉です。
当時の私は、「はあ、そうなんですか…?」としか思えませんでしたが、今は、正にその通りだったなと強く思います。