【うつ病患者への接し方】本人はこう思っている‥‥、家族の心構えは?
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基本的なスタンス

自然体を心掛け、あたたかく見守る

うつ病になってしまい、一番苦しんでいるのは患者本人です。うつ病に接することになる家族も辛いのですが、患者のうつ病特有の気持ちや感情をよく理解し、あたたかく見守ってあげることが重要です。

うつ病患者への接し方として、特に注意しなければいけないのは、「出来るだけ普段通りに接する」ということです。確かに、患者はうつ病という脳の病気であり、普段とは異なる状態にありますが、だからといって、気を使いすぎることは、かえって患者の気持ちに触ってしまい逆効果になります。

「ゆっくり休んだらいいよ」「家族は全員あなたの味方」「かならず治るから焦らないでいこう」という気持ちで、そっと患者に寄り添う姿勢が、患者の気持ちを楽にさせます。

問いかけるのではなく、聞き手になる

「どうして病気になったのか教えて」とか「悩みとか言いたいことは全部言って」など、患者を問い詰めるような行為もNGです。こちらにはそのような意図はなくとも、患者を追い詰めることに繋がります。

ただし、患者本人が、重い口を開いたときには、「今がチャンス!」と受け取り、じっくりと時間を取って聞いてあげましょう。その際には、根掘り葉掘り質問するようなことはせず、聞き役に徹しますが、患者が話しやすいように合いの手を入れたりして、慎重に本心を探るのもいいでしょう。しかし、くれぐれも共感者であることを忘れずに、自然体で臨みましょう。

言ってはいけない言葉と、かけてあげたい言葉

言ってはいけない言葉の例

<励ましの言葉>

  • 頑張れ、元気出して
  • あなたらしくない、あなたなら大丈夫だよ
  • たいしたことない、すぐに治るよ
  • 気を強く持てば大丈夫、気力で乗り切れ

<責める言葉>

  • いったいどうしたんだ
  • あなたは神経質だから
  • 辛いのはあなただけじゃない
  • そんなことでどうするんだ

<不安をあおる言葉>

  • こんなことで大丈夫か?ちゃんと治るのか?
  • この先が心配だな

<回復をせかす言葉>

  • 早くよくなってくれ
  • いつになったら治るんだ?

良かれと思って、つい落ち込んでいる患者に言葉をかけたくなりますが、上に挙げたような言葉は全部NGです。つい「病気に負けずに頑張ってね」などと言ってしまいますが、患者は病気のせいで、頑張りたくても頑張れない状態なのです。

うつ病患者は、全般的にネガティブ思考であるため、たとえそれが優しい口調の「頑張って」であっても、「そうか、自分は頑張りが足りないのか、頑張ればいいのか、でも頑張れないんだよな…。」とますます落ち込んでしまいます。

私が実際に言われて辛かったのは、うつ病の直接の原因になっている相手から言われた「治そうという気力が無いと病気なんか治らないぞ。」「なんでも病気のせいにするなよ」「早く病気を治せよ」「色々考え過ぎなんじゃないか?」などでした。

こうしてみると、全部、完全にNGですね。そりゃ病気も悪くなる訳ですよ…。

かけてあげたい言葉

<共感する言葉>

  • つらかったでしょうね、苦しかったんだね
  • よく今まで我慢してきたね

<休養を促す言葉>

  • 仕事のことは心配しないで、ゆっくり休んで
  • 病気なんだから、しっかり休まないと

<回復の希望を持たせる言葉>

  • 必ずよくなるから心配しないでいいんだよ
  • 急ぐ必要ないよ、焦らないで

<協力の姿勢を見せる言葉>

  • 何かしてほしいことがあったら遠慮なく言っていいからね
  • 私は全面的にあなたの味方だから

患者のそばに寄り添い、見守ったり並走してあげたりするようなスタンスから発せられる言葉が、患者にとっては最も嬉しい言葉になります。

私が言ってもらって嬉しかったのは、主に上司からの「病気になってしまったことを色々と思う必要はないよ」「長い人生の中の一時のことだから心配しないで」という言葉と、妻からの「私は全面的に味方だから」「家のことは気にしないでゆっくり休んで」「私があなたを守るから」などでした。

家族のサポートはどうすればいいのか?

思いやりも”おせっかい”になってしまうので注意

気分が優れずに家に引きこもっている姿を見かねて、「気分転換に散歩でもしてきたら?」「旅行にでも行ってきたら?」「気晴らしに映画とか見たらどう?」などと、アドバイスのつもりで言ってしまいがちですが、これもNGです。

「いいから私のことは放っておいてくれ!」

これが、うつ病が最も辛い時の患者の心の声です。看病してくれている家族には本当に申し訳ないのですが、これが正直な気持ちなのです。

看病する側としては、こんな風に家に閉じこもっていたら病気が悪化するのではないか、こんなことでは良くなるものも良くならないんじゃないか、などと思うでしょうが、違うんです。とにかく、そっとしておきましょう。

そして、患者の助けになること、患者がやってほしいと思うことだけを、淡々とやってあげるのです。この時の患者に必要なのは心からの休息であり、それは、促された外出などによる気分転換なんかではなく、思いのままに一人でボーっとしたり、部屋に閉じ籠って寝込むことなのです。

自殺を防ぐ

うつ病患者を持つ家族にとって、一番注意しなければならないのは自殺です。自殺については、「うつ病になりかけの初期」と「回復しかけた頃」に多いのですが、それには理由があります。

実は、最も症状が重い時は、自殺する気力さえも無いので、自殺のリスクはそこまで高くありません。むしろ、病状が少し回復してきて、気力が出てきた頃が一番危険なのです。

患者から発せられる自殺の兆候を見逃さないように、そしてそういう時は患者を一人にしないように十分注意して下さい。

私の場合は、勤務中、集中力や思考力を欠いてぐるぐる思考に陥っている時に、「今、屋上に上がって飛び降りたらどんな騒ぎになるかな…。」とか、抑うつ症状の強い朝の通勤途中に「このまま対向車線にハンドルを切ったら楽に死ねるかな…。」などと何度も、そして段々とリアルに考えるようになり、そのことを妻に話したことで、「あなたはもう会社に行っちゃダメ!」とストップがかかり、治療に専念するようになりました。

うつ病のことは隠さずに打ち明ける

うつ病の治療には一般的に長い年月がかかります。休職となれば、長期に会社を休むことになり、世間体を気にする方もいるかもしれません。しかし、今やうつ病は15人に1人は罹患する病気です。変に隠すと嘘に嘘を重ねることになり、患者も看病する側も余計なストレスを抱えることになります。

私のように、夫側がうつ病になった場合、配偶者である妻が、看病、家事、育児、家計の切り盛りの全てを担うことになり、その負担は非常に大きなものになります。

よく、夫婦の片方がうつ病になった場合、もう片方もうつ病になりやすい、と言われますが、これは、全ての負荷を抱え込んでしまうことが引き金になっています。

親兄弟や心を許せる友人などに、正直に現状を打ち明けることによって、協力も得られ、共感して話を聞いてくれたり、支えてくれる方も出てくるでしょう。隠すことによるメリットは何もありません。

うつ病患者への接し方

足掛け2年に渡って私のうつ病に接してきた妻に、接する側として特に注意し、実践してきたことを聞き取って、以下にまとめました。

うつ病患者への接し方 3大ポイント

  1. 患者に感情移入せず、観察者に徹する
  2. 基本、そっとしておいて患者の好きにさせる
  3. 患者の反応に一喜一憂しない

患者に感情移入せず、観察者に徹する

うつ病患者は、脳の病気であるため、その人の元々の姿に比べると、思考パターンや行動、こちらからの一言への反応など、細かなところが違っています。

気になるのは分かるのですが、「なんで?」「今までと違う?」などと、あまり親身に入り込むのではなく、淡々と見守る姿勢を貫きましょう。

患者がどんな状態なのか、例えば先週と比べてどう変化しているのかといった視点で、客観的に観察することが大事です。

基本、そっとしておいて患者の好きにさせる

うつ病患者は、基本的に他者との関わりを持つことを避けたい心境にあります。かと言って本も読めず、外出する気にもならず、という無間地獄のような悶々とした状況の中で苦しんでいます。

こうした時期には、無暗に手を差し伸べることが、かえって逆効果になります。一定の距離を置いた上で目を離さない、という姿勢で、そっとしておいてあげましょう。

患者の反応に一喜一憂しない

うつ病の回復は数歩前進したかと思えば、数歩後退するような推移を辿ります。ひとつひとつのことに一喜一憂せず、冷静にいきましょう。

その他のポイント

  • 自分で出来ることはやってもらう
  • あまりにだらしのない姿や子供達への接し方の悪さなどには、遠慮なく注意する
  • 本人が申し出てきた「やりたいこと」には全面的に協力する

私の場合は、うつ病を発症する前の自分とは違う自分になろうと思い、「ブログ」と「アコースティックギター」を始めたいと妻に申し出ましたが、二つ返事でOKしてくれました。

どちらも、始めるにはお金がかかるので、この収入が減る局面では言いにくかったのですが、快く協力してくれて、とても嬉しかったです。

こうした、うつ病患者が自らの意志で「やりたい」と思ったことは、非常に大事にすべきです。私の場合はブログとギターでしたが、ギターの先生は、これまで全くの未知だった音楽の世界に触れることは、私のメンタルにきっといい影響を与えるはずだと言っておりましたし、実際にギターを始めてみて、とてもいい影響を感じています。

本当に抑うつ症状が重い時は、ただひたすら倒れているしかないのですが、気力が出てきた時には、何かしらの新しい一歩が、うつ病の根源治療に役立つと思います。

まとめ

うつ病患者への接し方として、私と妻の経験を元に記してきましたが、うつ病の場合は、他の病気と違い、甲斐甲斐しく世話をするという姿勢や、いかにも慰めるといった感じの言葉や態度では、本人に「みんなに気を使わせている」と思わせてしまい、逆効果になります。

つかず離れずの距離を保ち、淡々と冷静に状態を見守る姿勢を心掛け、「一緒にゆっくりと治していこうね」といった、患者の気持ちを落ち着かせ、不安を和らげるような言葉や態度で接してあげましょう。

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